2014年02月27日

HOT WAXのホント

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今期はスノー商品の動きが遅く、年明けに繁忙期がずれ込んだため、ブログはしばらくお休みをいただいていた。多忙が一番の理由であるが、その他いろいろありブログを書く精神的余裕が無かったのも一因・・
その間、訪ねていただいた方々には申し訳なく思う。そして今年もヨロシク!
さて、いつも通り本題に入ろう。


チューニング屋さんとの会話だ。
「自分でHOT WAXをしているっていうお客さんのソール見ると、だいたい7割方の人のやつは焼けちゃってるよね・・」

スノーボードを購入していただいたお客さんから、一番多く寄せられるクレームは、使用しているうちにソールが盛り上がってきた、というもの。話を詳しく聞くとそういったクレームをされるお客様は、100%自分でHOT WAXをしている人である。アイロンの熱の当て過ぎにより内部素材が膨張し、ソールが盛り上がってしまったのだ。特にビスホール裏周辺は金属が熱を蓄積しやすいため起こりやすい。これはお客様自身の過失によるもののため、製品保証外である。
この場合、内部が冷えて固まってしまえばその状態で安定するため、そのまま使用していても問題はない。気になる場合は、チューニングに出して焼けたソール全体をサンディングで削り、盛り上がった部分をフラットに近づけてやれば申し分ない。

当店でも取り扱っているが、高温のヒートBOXに板を入れ、時間をかけWAXを浸透させる方法が認知され始めている。またWAXメーカーはWAXを売りたいがために、何度も何度も塗っては剥がし、塗っては剥がし、という行程を推奨している。
すると一般ユーザーはこう考える。低温に設定したアイロンを長時間あてれば、BOXに入れたのと同等の効果があるのでは? 長時間あてれば何度も塗るのと同じくらい浸透するのでは?と。

しかし考えてもみて欲しい、WAXが溶けるアイロンの温度というは、低くても70度や80度はあるだろう。そんな熱の塊の金属を、たかが厚さ2mm程度の薄いポリエチレンのシートに押しつけているのだ。長時間熱を加え続ければどのようになるかは、常識的に考えれば明白だ。ヒートBOXは直接ソールに熱を当てるのではなく、板全体暖めてWAXを浸透させるのだ。

ではどのようにしてHOT WAXをかければ良いのか?
WAXぺーバーを使う、これは必須である。直接高温の鉄の塊をソールに触れさせない事が大事。また、あらかじめ板を暖めておく事も忘れてはならない。外気で冷えたままの板に施工するのではなく、暖房の効いた暖かい部屋で室温になじませてから施工するのだ。電気毛布などを最高温にセットし、しばらくくるんで余熱を与えるのはかなり有効な手段だろう。そう、これらの手順はいかに短時間でアイロンを済ますかの工夫。プロは1、2分程度で手早くアイロンを終えてしまう。
何度も塗っては剥がす行程は有効なのか?
売り上げに影響するので公表されてはいないが、あるWAXメーカーが1度塗りしたソールと、何度か塗って剥がしてを繰り返した板とのWAXの浸透具合を調べたところ、微妙な差こそあれ、推奨するほどの差は出なかったという。ソールが焼けるリスクを冒してまで、何度も塗るのが正しいのかどうかは、人それぞれの判断だが。

HOT WAXが有効なのはソールの素材にもよりけり、という事を知らない人も多い。
シンタード(しかも番手の高いもの)素材であれば、HOT WAXは有効だ。シンタードは細かいポリエチレンの粒子を圧縮して形成するため、熱をかけるとその粒子の隙間にWAXが浸透しやすくなるのだ。しかし、現在市販されているボードの中でも人気の高い、バーク向けボードのほとんどがシンタードではなく単なるポリエチレンのシート。これに手間をかけてHOT WAXをしたところで、ほとんど浸透しないのがホント。無駄な努力をしていた人は多いと思う。
しかし単なるポリエチレンのソールにも利点がある。メンテナンスがあまり必要では無いのだ。滑った後そのまま放置していても、素材が悪くなることはあまりない。WAXも滑る直前に缶のWAXやペースト状のWAXを塗れば十分。板を痛めつける事が多いパークでの使用がメインならば、その方が理にかなっているとも言えるだろう。
逆にシンタードは滑った後にソールをクリーニングしてやらないと、素材が劣化しWAXが浸透しなくなってしまう。毎回これを行うのは実に面倒。シンタードソールを選ぶか否かは、自分のマメさを考えた上で、というのが肝心。(メーカーがシンタードと謳っていても、番手の低いシンタードは単なるポリエチレンのソールとあまり変わりない)
確かに、高番手シンタードベースはメンテ次第では本当によく滑る。しかし高性能だけが正義ではない。日常で使うならフェラーリよりもトヨタ86の方が気楽で楽しいし、何より壊れない。そして安い。そういう事だ。

人間が月に行く世の中、これだけ科学技術の進化した時代だ、本来ならWAXなど塗らなくても良く滑る素材が開発されていてもおかしくはない。巨額の費用を投じてそんな素材を開発し、回収できるほどスノースポーツ人口は多くはないという事か・・
WAXやソールの素材に関係なく、とりあえず少しでもよく滑る工夫として、ソール面のサンディングは最も有効な手段である。
ソールは長く使用しているうち雪との摩擦により、表面が目には見えないが細かく毛羽立った状態になる。WAXが抜けた状態を手で触ると、ザラザラした感触なので分かりやすいと思う。この毛羽立ちが雪の付着や滑走の抵抗となり、板にブレーキをかけてしまう。また酸化したソールは雪が付着しやすくなるし、焼けたソールも同様にソール素材本来の役目を果たさなくなるため、WAXが浸透しなくなるばかりか、滑走性も低下する。
これらの症状を改善するためにも、ソールをひと皮剥き新しい滑走面を出してやるだけで、WAXを塗らずとも板本来の持つ滑走性能は引き出せる。さらにストラクチャー加工を施せば、その板の持つ滑走性能をもうワンランクアップさせられるだろう。現在のストラクチャーは入れてマイナスに作用する事はほぼないとされているので、これは特にオススメしておきたい(やるならナナメクロスで)。パウダーでの効果はあまり期待できないが、特にこれからのベタ雪シーズンには効果覿面である。
これらの作業はチューニングショップに依頼するのが賢明だろう。

知識なくしてHOT WAXするべからず。
本日の教訓だ。



posted by hide at 12:33| スノー系ブランド&アイテム情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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